その手で溶かして
少し、歩くと背中にウミの大声がぶつかる。
「ナオ!ユキを連れて戻ってこい!」
ナオは私の顔を覗き込み、泣きそうな素振りを見せる。
「どうする?真雪ちゃんが嫌なら無視しよう。」
私は……
どちらでも構わない。
それが本音だったけれど、走ってきたウミに腕を掴まれ、遠藤君のアパートへと連れ戻されてしまった。
玄関ですれ違ってしまったサワと私。
サワは誇らしげに私を横目で見ている。
遠藤君を私から奪えたことが嬉しいのだろう。
もしかしたら、サワはこうして私と八合わせてしまうことを望んでいたのかもしれない。