その手で溶かして

ハァハァハァ



「ただいま」


と声を掛けるのも忘れ、玄関に蹲ったまま息を整える。



するとギーーっと錆びれた音が響き渡る。



「そんな所でどうしたの?」



玄関に人のいる気配を感じたママが、そっと私に歩み寄ってきた。



「最近、運動不足みたいで、走ったら苦しくなっちゃった。」



私は笑顔でママにそう言いながら立ち上がった。



「馬鹿な子ね。早く中へ入って休みなさい。」



声だけ聞いていれば、いつもと変わらないママの頬には涙の跡が。



「ごめんなさい。」



「別に怒ってなんかいないわよ。ほら、着替えてらっしゃい。」



「はい。」



ますます苦しくなった。



ごめんなさい。



ごめんなさい。


ママ。

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