虹の音
そのまま二人とも戻ってこないうちに予鈴が鳴り、授業が始まってしまった。
…先生の話なんか1つも耳に入らない。
右から左にすり抜けていく。
6限は得意な英語の授業だったのに、先生に指されても気づかないほどに意識が別の方向に向いていた。
結局空木の変な理由も、いずみのおかしな態度の原因も、龍真が何を言いたかったのかも、何も分からないまま時間は過ぎてゆく。
気づけば午後の授業は終わり、放課後になっていた。
ぼーっとしていたあたしは、みんなが帰っても一人、教室に残っていた。
「あれ?佐々木お前帰んねぇのか?」
「…哲っちゃん。」
哲っちゃんがドアのところで重たそうな資料を持って立っていた。
「ちょーどいいや、これ資料室に運んどいてくんねぇか?」
…………最低。
中1女子にそんな重たそうなもの運ばせるなんて。
「……いいですけど、別に」
特に断る理由もなかったので、しぶしぶ了解した。