虹の音


そのまま二人とも戻ってこないうちに予鈴が鳴り、授業が始まってしまった。


…先生の話なんか1つも耳に入らない。

右から左にすり抜けていく。

6限は得意な英語の授業だったのに、先生に指されても気づかないほどに意識が別の方向に向いていた。


結局空木の変な理由も、いずみのおかしな態度の原因も、龍真が何を言いたかったのかも、何も分からないまま時間は過ぎてゆく。

気づけば午後の授業は終わり、放課後になっていた。


ぼーっとしていたあたしは、みんなが帰っても一人、教室に残っていた。


「あれ?佐々木お前帰んねぇのか?」

「…哲っちゃん。」

哲っちゃんがドアのところで重たそうな資料を持って立っていた。

「ちょーどいいや、これ資料室に運んどいてくんねぇか?」


…………最低。

中1女子にそんな重たそうなもの運ばせるなんて。


「……いいですけど、別に」

特に断る理由もなかったので、しぶしぶ了解した。


< 147 / 165 >

この作品をシェア

pagetop