俺がお前を守るからだからお前は…

 「毬也。萌を殺せ。」

 無情な声に、同じ人間なのかと思わず疑ってしまった。

 玉座でよく見る立派な椅子に方杖をついて座る南は、抱き合う萌と俺を見ていた。

 「…は?」

 「聞こえなかったか?その耳が飾りなら今すぐ切り落として構わないぞ」

 俺の耳なのに、そんなことを言う南に、萌は俺の腕を引っ張った。

 「お兄ちゃん…しない、よね?」

 一度は妹売った俺だ。

 萌は怯えていた。

 あの日よりも。

 
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