゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。

「きみひろ君?」

彼はびくっと視線を

あげ、口元をゆがめ

た。かげった瞳には

おびえをたたえてい

る。

「ごめん」

言うなり、弾かれた

ように走り出した。

つられてかけだした

ものの、あっという

間に距離をつけられ

てしまう。

「きみひろ君!」

大声に驚いた雀が、

空に散らばる。

「きみひろ君!」

雀より小さくなった

、彼のうしろ姿が遠

ざかっていく。

「どうしたんだろ」

息を切らせてしゃが

みこむ。心配と不安

と不快感が、もやも

やと視界を漂う。

汗が、ぽつんと地面

に落ちた。


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