つむじ風。

携帯の留守電にはリサが限度いっぱいにメッセージを残していた。

勘がいいあいつのことだ。
会えば、根堀り葉堀り聞いてくるに違いない。

面倒だと思って、このところ会っていない。
いや、会う気がなかった。

博子と会った後は、そのままマンションに帰ってシャワーを浴びて寝たいくらいだ。

それくらい疲れる。
神経を使う。

それに…

だが、そんなことは言ってられない。

俺にはかまわなければいけない女がたくさんいる。
新しいクラブの開店準備もある。

それはそれで、「余計なこと」を
考えなくてもいいのかもしれない…


俺と博子はそれからも会い続けた。


ある日、相変わらずガキみたいに
プラネタリウムが見たい、と言い出した。

偽の満天の星空。
それでもおまえはじっと見つめる。

俺はそんな横顔を盗み見した。

淡くぼんやりとした光の中でもわかる。

目が、潤んでいた。

何を考えてるんだ…

訊いてみたくて仕方なかった。

…旦那のこと、か?
それとも俺のこと、か?

旦那のことを持ち出すと
おまえは言葉に詰まることが多い。

まだ突っ込んだ話は早いかと、
俺も深くまでは訊かなかったが…

…うまくいってないのか?

そんな考えが頭をよぎる。
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