恋々綴り。【短編集】

#24



 バイクに乗って海に来た。彼からの誘いだった。夕焼けが落ちていて、水面に太陽が溶けていく。もともと物静かな彼が、こんなことを言いだすなんて思ってもなかった。


 砂浜を裸足で歩くと、丸い不透明な白い石や茶色い透明な石が落ちていた。拾って綺麗だねと笑った。


「それはガラス」

 石を指差して、言う。

「ガラス?」


「人間たちが捨てた瓶とかが波で角が削られてこんな石にしてくれる」


 彼はそう教えてくれた。 その後、ここは生まれ故郷なんだと。


「教えたのは……お前だけだ」


 不覚にも胸がときめいて、次の展開にも期待してしまって硬直してると。


「…………隣にいて、ずっと」


 真っ赤になってる、と言うとお前もと返された。



Fin
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