【企画】バトル、それは甘美なかほり【キャラバト】


でなければ一生このままだとは言われなくても分かった。


「分かったって、だから」


「『はい、喜んで』でしょ」


「っっ、はい喜んで!喜んでやっから、ささっとどけやがれ!」


頭の重みが霧散した。


顔をあげれば、そこに赤ずきんちゃんはいない。


あったのは床にある一冊の絵本。


赤ずきんをかぶった少女が表紙の可愛らしい絵本があった。


「マジかよ……」


絵本を手にとる。


私を連れていきなさい、とはこういう意味だと知った。


何気なくページをめくれば、見覚えあるような文字と絵たち。


ボロボロで、誰かに落書きされたであろう本でも、腹の奥がつつかれた気分になった。


< 86 / 87 >

この作品をシェア

pagetop