【企画】バトル、それは甘美なかほり【キャラバト】
でなければ一生このままだとは言われなくても分かった。
「分かったって、だから」
「『はい、喜んで』でしょ」
「っっ、はい喜んで!喜んでやっから、ささっとどけやがれ!」
頭の重みが霧散した。
顔をあげれば、そこに赤ずきんちゃんはいない。
あったのは床にある一冊の絵本。
赤ずきんをかぶった少女が表紙の可愛らしい絵本があった。
「マジかよ……」
絵本を手にとる。
私を連れていきなさい、とはこういう意味だと知った。
何気なくページをめくれば、見覚えあるような文字と絵たち。
ボロボロで、誰かに落書きされたであろう本でも、腹の奥がつつかれた気分になった。