執事と共に賭け事を。
「大丈夫、本当によく似合っている」


ヒガキは、何も気にならない、というように微笑んでいた。

実際、注射痕の赤みが気にならないくらいに、背中からうなじや肩のラインが魅力的だった。

そして、困惑した表情で腕を隠そうとするその姿ですら、支配欲に似た庇護欲をそそった。


「さあ」


ヒガキは、肘を恵理夜の方へ張った。

恵理夜は、恐る恐るその肘に手を通した。


「こうすれば、わからない」


完璧なエスコートを約束する腕の組み方である。

恵理夜は、苦笑するようにヒガキへ身を任せた。
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