執事と共に賭け事を。
背中から腕のラインが、なんともいえない色気を醸し出している。

ブラウスにワンピースからは全く想像もつかない姿、加えて恵理夜の不安げな上目遣い。

余計に胸が高鳴るのがわかる。


「あの、やっぱり……」


恵理夜は、落ち着かない様子で腕を押さえていた。


「どうかしたのかい?」

「実は……」


恵理夜は、諦めた様子で抑えていた手を下ろす。


「これは……」


肘の内側など、点々と赤くなっているのがわかった。

それは、注射痕だった。

学校では、ヤクでも決めているのではないかと噂された。

それ以来、恵理夜は出来る限り袖のある服を着ていた。
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