執事と共に賭け事を。
そこは、男性用のトイレの前だった。

――ガタン

もう一度、内側から何かが叩きつけられるような音。

中の電気は消えている。

けれど、耳を澄ますと水の流れる音が聞こえる。

そして、ひどく荒れた人の息遣いも聞こえてきた。

がちゃがちゃと、内側からノブが動くが扉が開かない。

恵理夜は、扉と絨毯の間にネクタイピンが挟まっているのを見つけた。

絨毯に絡んだネクタイピンが扉が開くのを阻害していた。


「落ち着いて、すぐ開けるから」


恵理夜は、すぐにそのネクタイピンを抜き取った。
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