執事と共に賭け事を。
――バン


勢いよく扉が開き、スーツ姿の青年が飛び出してきた。

顔は蒼白で、ひどく息を乱していた。


「大丈夫、ですか……?」


青年の焦点は、うつろで手は震えていた。

パニック状態を起こしていた直後だというのがよくわかった。


「やめろ……水が、」


手を洗う水道水が出しっぱなしで音を立てていた。

青年は、その水に怯えるように耳を塞いでいた。
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