執事と共に賭け事を。
上質のシェフォンチュールを何層にも重ねられたワンピースドレス。

重ねられたシェフォンは全ての色と丈が統一されておらず、どの角度から見てもアンシンメトリーな個性的な印象だ。

生々しい注射痕やうっ血の浮いた腕は、上品な袖で隠されている。

恵理夜のためだけに作られた特別なドレスだ。


「やあ、もう一度ここで会えるとは思わなかったよ」


そこは、ヒガキのVIPルームだった。

「再びこのアンダーグラウンドでお会いできるとはね。お色直しまでしてくれたみたいだしね。よく似合う」


凛と立つその姿は、まさに清廉潔白なお嬢様だ。
< 197 / 254 >

この作品をシェア

pagetop