執事と共に賭け事を。
「あら、覚えててくれたのね」

「忘れるはずはありません」


春樹の頭の中には、様々な追憶がよみがえる。


「こんなところで会えるなんて、お互い出世したものね」

「ご冗談を。所詮、私は」

「わかってるわ。でも、この船は裏でも表でも素性がしっかりしたもの以外は乗れないもの」

「なるほど」


ツバキは、親しげに一歩春樹に歩み寄った。


「また、貴方に会えるなんて。素敵な時間になりそうね」


春樹は黙ったままだ。
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