執事と共に賭け事を。
「おやおや、君たちはそんな関係だったとは……」


驚いたような、呆れたような口調でヒガキはぼやいた。

しかし、恵理夜の耳にははっきりと届いていた。

鋭い、春樹の囁きが。


『秘密は、2枚目に隠されております』


春樹は、そう言って恵理夜の袖口から手を引いた。


「私が、貴女の後ろで、見守っております。ご武運を」


胸に手をあて、丁寧に一礼した。

そして、そこに立っていた給仕の男性をどかし、誰も近づけまいと、そこを自分の場所とした。

その場にいた給仕が妙な慌て方を見せていた。
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