執事と共に賭け事を。
ヒガキは、やはり恵理夜から決して目を離さない。

そうすることで、恵理夜の感覚は相手の目線と《見られている自分》の表情にのみ集中していた。

それが、その視線の意図だったのだ。

視線一つで恵理夜は操作されていた。

春樹から与えられたお茶のおかげで、恵理夜の感覚はリセットされていた。


そこで初めて気付く。


カードの枚数がおかしいことに。

元々持っていたカードは7枚。

13枚ワンセットと2セット目の8枚でコールに失敗した時点で21枚のカードが手札に追加されている。

そしてさらに相手にコールされたことで4枚のカードが追加されている。

計31枚のカードが恵理夜の手元にあるはずだった。

しかし、実際恵理夜の手元にあるカードはその枚数を超えていた。


恵理夜は、とっさに相手のカードを見た。
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