執事と共に賭け事を。
「どうしたんだい、君の番だよ」


緩やかな、それでいてナイフのような危うさを孕んだ瞳。

恵理夜は、カードを出す。

さらに、ヒガキもカードを出した。

恵理夜は、その手を目で追おうとする。


「先ほどの彼が持ってきたお茶は、なんだったのかな」


親しげに、それでいて会話の渦に巻き込もうとする声。

恵理夜は、ただカードを出した。


「僕も、彼の入れたお茶を飲んでみたいものだな。もう一杯、」

「無駄ですよ」


良く通る声が、その場の空気を切り裂くように響いた。
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