執事と共に賭け事を。
「覚えてないかな?春のパーティーで会ったのを」


でも、仮面をつけていたから無理もないか――と相手は苦笑した。


「仮面、」


その言葉と、青いネクタイを見て思い出した。

春のパーティー――皆が仮面をつけて身分を明かさずただ純粋にその場を楽しむという目的のパーティーだ。

そこで、ダンスの誘いを掛けてきた、青いドミノマスクをした青年の声を思い出していた。


「青い仮面をつけていた……」

「その通り。あの時は、ダンスを断られてしまったね」

「そうでしたね。ごめんなさい」
< 24 / 254 >

この作品をシェア

pagetop