執事と共に賭け事を。
恵理夜の謝罪に相手は陽気に答えた。


「いいんだ。それにしても、恥ずかしいところを見られてしまった」

「いえ、もう大丈夫ですか」

「ああ、大分落ち着いたよ」


笑顔を作る青年に、恵理夜は遠慮がちに尋ねた。


「お手洗いで、何かあったんですか?」

「いや、何……ヘマして扉が開かなくなってしまって、ちょっと取り乱しただけだよ」

「嘘」


恵理夜は、自分の勘の告げる答えをまっすぐ口にした。
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