執事と共に賭け事を。
「……放してください」


恵理夜は、ただそう告げた。


「お前ぇは、あの男にひどいことをされた。違うか?」


祖父は、優しく孫を諭そうとするばかりだ。


「その通りです。でも、これが正しい対処だとは思えないです」

「ほう、正しいってのはなんだ」


――その時、もがく水音が激しくなった。


「恵理夜っ」

「お嬢っ」


恵理夜は、耐え切れずプールに飛び込んでいた。

部下や祖父が一斉に身を乗り出す。
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