執事と共に賭け事を。
プールの真ん中で、ヒガキはパニックを起こし、もがき、そして疲れたのか沈もうとしていた。


「大丈夫、水の上まで出るわ」


恵理夜は、なんとかその手を引きプールサイドまで引き上げた。

しかし、過呼吸を引き起こしているヒガキは、水が吐けず陸の上でも痙攣を起こしていた。


部下の一人が、ヒガキを引き剥がそうとした。


「触らないで」


ぴしりと言い放ち、恵理夜はヒガキを抱え、抱きしめるようにその背中をやさしく叩いた。


そして、その耳元に語りかける。
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