執事と共に賭け事を。
春樹は、そっと恵理夜を引き寄せた。


「は、春樹……?」

「お疲れ様でした」


身体が包まれ、その言葉を聞いた途端、一気に膝の力が抜けるのがわかった。


「お薬の時間をずいぶんと過ぎてしまいましたからね」


苦笑するような響き。

さすがは優秀な執事だ。

恵理夜の体調などわかりきっているのだろう。

どこまでも自分を知り尽くし、信頼するその存在に包まれて、恵理夜は静かに目を閉じた。
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