執事と共に賭け事を。
しかし、ポーカーのルールもよく知らない恵理夜は、黙って見ているしかない。

なんとなく、仲間はずれにされたようで悔しかったが、カードがめくられる都度に一喜一憂する人の顔を見ているのは面白かった。


「どうやら、勝ちの流れが来たようですね」


ディーラーが祖父に告げた。

確かに、祖父は勝ち始めていた。


「嘘」


ディーラーの言葉に恵理夜の勘は敏感に働いた。

取り巻きである恵理夜の言葉に、ディーラーは一瞬目を見開いたが、すぐに何事も無かったかのようにゲームを進めた。

しかし、祖父と春樹だけはその言葉を信じ、即座に降りた。


――結果、その判断は正しかったようだ。
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