執事と共に賭け事を。
恵理夜は、ディーラーをじっと見つめていた。

よどみなく美しいカード捌きだが、そこには何らかの意図が絡んでいるように思えた。

何らかの、イカサマが絡んでいるように恵理夜の目には映ったのだ。

ルールのわからない恵理夜には、何がイカサマなのか判断できない。

しかし、ディーラーがつく嘘には悪意に似た何かを感じたのだ。


「恵理夜がこのゲームを覚えちまったら間違いなく最強になるだろうな」


祖父は苦笑していた。


「春樹、あいつにだけは絶対ギャンブルを教えるんじゃねぇぞ」


春樹は、恵理夜を見た。

恵理夜も、困ったような顔をするしかなかった。
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