執事と共に賭け事を。
「カジノは初めてだろう」

「ええ」

「じゃ、よかったら僕にエスコートさせてくれないか」


と、芝居がかった動きで恭しく手を差し出される。


「この船のホストの一員として君を楽しませたいんだ」


恵理夜は、遠慮がちながら、引き寄せられるようにその手を取った。


「よし、じゃ彼女を借りるよ保護者クン。御大が、君を待っているようだからね」


春樹は、しばしヒガキを見つめるがやがて頭を下げながら、


「主人を、よろしくお願いいたします」


と、言って踵を返した。
< 57 / 254 >

この作品をシェア

pagetop