執事と共に賭け事を。
「ディーラーもやっているんですか」

「カジノはうちのメイン事業の一つだから。ま、真似事だけどね」


と、いいながらカードを扱う手さばきはプロさながらに鮮やかで、恵理夜の目を輝かせた。


「船の上は楽しめているかい?」

「ええ、とても。見たこと無いものばかりだから」

「いい目だ。正直、心配だったんだ。この船のメインはカジノだから、君のようなお嬢様が楽しめるのか」

「十分に楽しめています。給仕の皆様もとても丁寧で、窓も大きく取られているし……」

「カジノは、日本ではまだ合法化されていないからこの船、実は外国船なんだ」

「外国企業と提携しているってことですか?」

「そうだね。その関係で御大が活躍してくれたんだ。あ、今回のクルーはほぼ日本人ばかりだから安心して」

「すごいですね」

「日本には無い非日常が演じられるってメリットがあると思っているんだ」

「ええ、本当に。カジノ以外の魅力もたくさんありますよ。もちろん、カジノも魅力的ですけどね」

「よかった」


ヒガキは心底嬉しそうに笑っていた。
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