執事と共に賭け事を。
「部屋のオートロックが作動してしまって。すぐにでも着替えたいのですが……」

「よかったら、僕が見立てていいかな」


恵理夜の言葉を遮って、ヒガキは恵理夜の肩に手を掛けた。

同時に、給仕の者へ声を掛けて何かを告げた。


「さあ、行こう」

「あの、私、部屋に……」

「助けていただいたお礼をさせて欲しいんだ」


と、好青年らしい笑みを浮かべながらもその手はあくまで強引に恵理夜を導いた。

慣れない空間と相手ゆえ、恵理夜もヒガキのペースに乗せられるがままだ。
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