お願い、抱きしめて

「お前に、オレの気持ちがわかるわけないだろ!」


「ええ、わからなくて当たり前よ。そもそもわかりたいとも思わないし」



むっ、ムカつくーーーーーー!



かあっと、なる頬と沸騰しそうな頭。泉を睨み付けて、ガンを飛ばすが全く効果はないらしい。


しかも、鼻で笑われる始末だ。これはさすがに…オレのプライドが許せない。



「泉っ──!(このーーっ!)」


「音也、落ち着け!」



最後には泉に一撃を食らわそうとしたが、深見に取り押さえられて無様に負け。冷たい視線と、怒りに満ちた視線がぶつかる。


数秒睨み合った後、「仕事あるので、失礼します」と泉は坦々と深見に伝えて部屋を出ていった…が、オレの怒りは収まらなかった。


ムッと不機嫌な顔をしてるのが、自分でもわかる。


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