恋色語
静寂が訪れ、また時間が止まってるような感覚になる。

幻想的、そんな雰囲気に場が包まれた。


「…ありがとう」


片桐は手をゆっくりと伸ばし…
私と手を繋いだ。私の方が温かい。


「どういたしまして。さあ行くよ」


一度微笑み、空いた手で鞄を持つと私達は走り出す。私を先頭に、片桐を引っ張ってゆく。

放っておけなかった。なぜかは分からない。見知った顔だから?

ううん、それもあるような気がするけどもっと……大切な何かを感じた。



………

「ゼー…ハァー…。ま、間に合った」


ギリギリ間に合った。止まるなとばかりに青まみれだった信号に感謝。


「じゃ、ここで。また会おうね」

「………うい」


廊下で別れて今日に入ると、最後の一人が私だった。ん、ギリギリだと逆に見られて…まあいいや 。
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