恋色語
「………」

「シカトやめいや。…はぁ、もういい。ケーキ買ってきてお母さんとかと食べる。怜抜きで」

「ちょ…」


その瞬間、絢香さんの口がニヤリと笑った。


「あ、ケーキね。何がいい?ねえねえ」


そして怜の座るイスを必要以上に揺らし始めた。そのくらい嬉しかったみたい。

滅多にない、自分から家族と話してくれたから。


「わーったから揺らすな」

「何々?何食べたい?」

「いちご…ショート」

「了解!お姉ちゃん買ってくるね」


そう言い残すと絢香さんはすぐに家を出た。幸せそうな顔で、嬉しそうに。
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