恋色語
◇第三章◇

決意

顔が見えない人の夢…。もう何度目か分からないこの夢。今回は全面鏡張りの部屋にいるようだ。


「あなたは…誰なの?」


私の前にはまた知らない人が立っている。女の人で、ヴェールのようなもので顔を隠していた。


「…絢香…さん?」


なぜかは分からない。けど、そんな気がした。


「そのままでいいのよ」


絢香さんらしき人はそう言うと背を向けて歩いてゆく。


「待って絢香さん!言いたいことがっ」


私は必死に手を伸ばすけど、絢香さんには届かない。届くというより、その場から動けない。


そうして絢香さんは光に包まれた。
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