極悪彼氏
家に連れてきた夢羽をソファーに座らせた。



「なにを見てきた」

「なにって…?」

「タイキの話、ゲンジのこと、イズルとツキトの裏切り」

「あっ、夏休みに言ってたヤツ?」

「普通に考えてそうだろ」

「な~んだ、演技か。マジでケンカしてるのかと思った」



気づくのおせぇから。



ケンカ中は少し熱くなったけどな。



「今日中になんかあったら、俺らの中に裏切り者がいるかもしんねぇしな」

「裏切り!?」

「ケンカしたての今こそあのふたりを仲間にするチャンスだ。だからあそこでケンカした」

「なるほど…。でももし裏切ってる人がいたらどうするの?」

「どうもしねぇ。むしろシカト。自分で間違いに気づかねぇならそれまでだ」



きっと一気に信用をなくして周りが離れていく。



気づいた時にはひとりで。



間違いに気づいたらそれはそれで拾ってやろうとは思う。



なんか俺、丸くなったな…。



今の俺を想羽さんが見たらきっと別人だと言って笑うだろう。



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