Sweet bitter
振り返るとそこには…
「か、課長……」
「北山さん」
あたしはドキリとした。
課長とこんなふうに面と向かって話すのは、あの日以来だ。
「良かった、やっぱりここにいた……」
課長は優しく笑い、あたしに歩み寄ってくる。
そしてあたしの前に来ると、ギュッと抱き締めてきた。
「か、ちょ…」
「ずっと…こんなふうに君を抱き締めたかった。仕事なんか手につかないくらいに」
課長はあたしの耳元で優しく囁いた。
あたしはソロソロと課長の背中に腕を回す。
温かい。
あたしはやっぱり、この腕が好きみたいだ。