閃火高遠乱舞
1章



 2140年。
ますます成長した日本では、様々な道具が作られ、使用されていた。
国土は小さくともここまで巨大化したのには、日本人特有の気質があるのだろう。
飽きることなく、精力の限り開発に勤しんでいた。
 そんな中、昨年2139年、各国間協議にて。
とうとう大きな溝は埋まることなく、諸国を分断。
ドイツを中心として結託するEU連合側と、中国・アメリカという強大な大国側に分かれてしまう。
双方は争うようにして同盟を結び、また、武力を集めていく。
 しかし、世界大戦の重い歴史を忘れたわけではなかった。
戦国間戦時条例にて、世界全土においての核兵器およびミサイル、地雷や毒ガスなどの使用を禁じた。
 つまり今戦は、正々堂々とした正面からの戦いである。
知略を駆使し、剣や自然を駆使して勝利を目指す。
環境に気を配りつつ行われた、歴史上異例の戦争。
 後にそれを、第三次世界大戦と呼ばれる。
 そんな時代背景のもと、日本でもまた、軍が緊急配備されていた。
そこには武士やサムライのような家系の者だけでなく、忍びや陰陽師のような特殊な存在も入隊している。
 しかし、日本はEU連合にも大国同盟にも参加していない。
もともと貿易を中心として成長してきた国である。
日本国憲法にのっとり、我ら戦争参加せずの体制を主張したのだ。
 そのためか、日本や小さな諸国は割と平穏な日々が続いていた。




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