閃火高遠乱舞


 沈黙がその場を包む。
店員はさっさと退散し、接客に戻っていた。
ざわざわとする中での沈黙は、しかし誰にも気にされず流されていく。
 宝王子はちらりと青年を見上げる。
青年は気にする風もなく食事している。
そんな宝王子の眼前にも、ほかほかのハンバーガーがあるのだが。
 互いに様子を伺っているような雰囲気だ。
端の影になる部分でこんなことが行われているとは、陽気なアメリカンは誰も思うまい。
 そんな二人のもとに近付く者がいた。
「こんにちは」
 流暢な英語。
挨拶に応じて顔を上げた宝王子は、しかしすぐ驚愕する。
「アンタ…飛雲!!」
「お久しぶりです、宝王子将軍」
 にこりと穏やかな笑みを浮かべてそこにいたのは、中国五虎将軍の一人であり、先の戦で圧倒的な実力を見せた飛雲青龍だった。
一見すれば、ただの好青年。
しかし、その姿勢に隙は全くない。
何かが起これば、すぐに反応できる。
 しかし、宝王子はさらに驚くこととなる。




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