閃火高遠乱舞
 軍人はまず、基本的な知識として武術の他にも簡単な応急処置と本格的な英語を叩き込まれる。
万国共通語は戦闘においても使用されやすいからだ。
 その甲斐あって宝王子をはじめとする日本軍兵は英語がペラペラなのだ。
 彼を見つけると同時に、店員らしき女性に声をかけられる。
「申し訳ありませんが相席でも宜しいですか?」
「ああ、いいですよ」
 そう返した宝王子が向かうのは当然、彼のもとだ。
これ幸いと店員もついてくる。
知り合いとでも思ったのだろう。
「ここ、いいかい?」
 声をかけられた青年は顔を上げ、宝王子を見る。
知らぬ内に緊張する視線だ。
内心冷や汗をかきながらも、返答を待つ。
 すると。
「…ああ」
 満席なのを見たのか、はたまた他の意図があるのか、特に何も言うことなく頷いた。



< 33 / 95 >

この作品をシェア

pagetop