閃火高遠乱舞
 宝王子は新川を見下ろす。さて、どうやって入ろうか。そんな意のこもった視線は、新川の笑みで返された。
「黄玉、いっくぜーっ!!」
 ドガーンッ
 新川が身体に雷を取り巻きながら突進し、派手な音をたてる。そこには先ほどの優雅な外見を見る影もない、無残な残骸があった。
 木製の机であったろう木板。シーツだったはずのボロキレ。その中央に、五人の人間がいた。
 葉巻をポロリと落とす、肥えた男。泣きべそをかく少年。そして、妻らしき女が三人。
 宝王子が抜刀する。血は拭われ、鏡のような刀身が現れる。五人は宝王子と新川につく赤を茫然と眺め、石になったように動かない。
「そのお命、頂戴する」
 宝王子が刀を構えると、帝が姿を見せた。帝が聖徳と共に駆け上ってきたのだ。
「城は包囲し、兵は剣を手放した。貴殿に勝ちはない」
 宝王子はまず、女を一閃する。新川も、女二人を叩き斬る。良心が痛む行為ではあれど、、また「将軍」と名乗る者がこの大陸を支配してはならない。次に後継ぎであろう少年。金清日は、帝の手によって討たれた。




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