閃火高遠乱舞



 川が流れ、空が高く澄んでいる。石畳の道に、たくさんの家が並んでいる。所々から、国柄を表わすキムチの匂いが漂ってくる。一般的な家庭の風景だった。
 その道を、帝に従って馬を進める。宝王子は舗装もされず、土が剥き出しになった道を初めて見た。そして、飢餓に陥る人々も。
 北朝鮮は、今にも死んでしまいそうだった。貧富の差が、ここまで激しかったとは。宝王子はその現実に衝撃を受けた。
 帝が新川を呼ぶ。新川は、後方から慌ててやってきた。
「何スか?」
「飛行艦から、あるだけの食料と衣服を配ってやれ」
 新川について、宝王子も動く。高速飛行艦には、長期戦にも耐えられるだけの兵糧が準備されていた。それを民に分け与えるのだ。
 これから北朝鮮国民は、剣を農具に変えて大地を整える。法を正し、自国を変えていく。北朝鮮は生まれ変わるのだ、豊かな国に。自由溢れる、美しい国へと。








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