ブラッククロス
湖は鏡のように氷る。






なんとなく、悔しいけれど…。確かに綺麗だった。
こんなに話したのは久しぶりだろうか?
いや、暗部に居れば接しない話さないが当たり前だ。
これもいけないこと…。





「グラスと俺は相性いいみたいだな。」






「監視役としてそれは頂けない。」
すかさず切り込む。






「つれないな…。冷徹なんだからさぁ…。」






「そろそろ、暗部に戻りますよ。」






「グラス…。」






翡翠の瞳が見えた。さ迷う瞳を宿して…。






「しばらくどっかで遊ぶかな…。」






思わず殴る。






「暴力反対!」






コロコロ変わる風見鶏に翻弄され…。
暗部に戻り報告する。






「そうか…。」
青白い蝋燭の火が揺れる。





片目のバンパイアは何かを感じていた。
ついに動き出したか。






「隊長?」






「君ほどの者でもあれには敵わないか…。あれも自由なやつだからな。」





「あれは…。」






からかわれているとは流石に言えない。






「そのまま遂行しろ。」





「はい!」






重い扉が閉まる。






暗部が動き出す。






いつでも風は気まぐれに…。





「暗殺者が暗殺のターゲットか…。」






闇の世界には闇の生き物がいる。
頂点に立つバンパイア。
暗殺部隊。






「裏切り者は始末しなくてはな。」






片目のバンパイアは眼帯を撫でながら蝋燭の炎を吹き消した。






煙が風に乗って運んでいく。






「ジルウエット·ラファール…。」






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