ブラッククロス
女神は人と呼ぶには悲しき姿。
けれど…。
愛しい愛しい、甘い香りのする。
あの頃のように…。
獣は吠えた。
今までにないくらいに…。
叫び声だったのか、泣き声だったのか…。
火柱が上がって辺りを再び灼熱と化した。
もうそれは…。
獣は理性を無くした。
愛故に…。憎しみ故に…。
かつて愛したものが何を守ろうとしたのか…。
そんなものはもうどうだッていい…。
唯一の大切なものがないなら世界がないのと同じだ。
私を置いて帰って行った…。そのはずが…。こんな姿で…。繋ぎ止めることなど許しはしない。
たったひとつだけ大切なものを…。
奪われる。
魂が引き裂かれたのだ。
許しはしない。
虫けらが…。
虫けらが…。
虫けらが!!!
許さん!
灰は灰に帰れ!
世界などいらん…。壊れてしまえ。
業火で焼きつくしてしまえ。
もはや何もない。
何もいらない。
腐りきったこの世界は…。
燃やして静寂と無へ。
私の杖で導いてやろう…。
ローズ…。
ローズ…。
ローズ!!!
絶叫は業火に変わる。
紅い瞳は輝いていた。
怒りと共に。
聖女が見ていた奥に光る美しさはもはや宿さない。
何もいらない。
何もない。
全てを拒絶する瞳のみ。
獣の理性は…。小さな光は消えていく。
変わりすぎた姿に成り果てた愛した薔薇は…。
教会の糧にされた…。
炎に包まれる骸骨。
召喚された禍々しい龍。
角の生えた炎の獣たち。
全てを破壊していく。
煙に炎に悲鳴。そして血に死体…。
地獄だ…。
聖なる騎士も震えあがるほどそこは…。悲惨な修羅場。
ただひとり…。
ほくそ笑む男。
狙いを定めた獲物は逃がさない。
天から降り注ぐ。白銀の大十字が獣を襲う。
「消え失せろ。化け物が…。」
大槍は振り落とされた。
「!」
獣に届いたのは声…。
「ノアー!!」
辺りは白の光が放たれ、何も見えなくなった。
けれど…。
愛しい愛しい、甘い香りのする。
あの頃のように…。
獣は吠えた。
今までにないくらいに…。
叫び声だったのか、泣き声だったのか…。
火柱が上がって辺りを再び灼熱と化した。
もうそれは…。
獣は理性を無くした。
愛故に…。憎しみ故に…。
かつて愛したものが何を守ろうとしたのか…。
そんなものはもうどうだッていい…。
唯一の大切なものがないなら世界がないのと同じだ。
私を置いて帰って行った…。そのはずが…。こんな姿で…。繋ぎ止めることなど許しはしない。
たったひとつだけ大切なものを…。
奪われる。
魂が引き裂かれたのだ。
許しはしない。
虫けらが…。
虫けらが…。
虫けらが!!!
許さん!
灰は灰に帰れ!
世界などいらん…。壊れてしまえ。
業火で焼きつくしてしまえ。
もはや何もない。
何もいらない。
腐りきったこの世界は…。
燃やして静寂と無へ。
私の杖で導いてやろう…。
ローズ…。
ローズ…。
ローズ!!!
絶叫は業火に変わる。
紅い瞳は輝いていた。
怒りと共に。
聖女が見ていた奥に光る美しさはもはや宿さない。
何もいらない。
何もない。
全てを拒絶する瞳のみ。
獣の理性は…。小さな光は消えていく。
変わりすぎた姿に成り果てた愛した薔薇は…。
教会の糧にされた…。
炎に包まれる骸骨。
召喚された禍々しい龍。
角の生えた炎の獣たち。
全てを破壊していく。
煙に炎に悲鳴。そして血に死体…。
地獄だ…。
聖なる騎士も震えあがるほどそこは…。悲惨な修羅場。
ただひとり…。
ほくそ笑む男。
狙いを定めた獲物は逃がさない。
天から降り注ぐ。白銀の大十字が獣を襲う。
「消え失せろ。化け物が…。」
大槍は振り落とされた。
「!」
獣に届いたのは声…。
「ノアー!!」
辺りは白の光が放たれ、何も見えなくなった。