【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
結局その夜琥珀は帰ってこなかった。
抱きしめたまま眠ってしまった携帯も鳴ることはなかった。
朝の日差しがそのことを翡翠に告げるかのようにカーテンの隙間から差し込んで翡翠の頬を照らす。
朝方まで心配で眠れなかった翡翠がウトウトと眠りについたのはついさっきのことだ。
この頃では目が覚めたら必ず横に琥珀がいた。
それは翡翠の中で当たり前になった日常だった。
このまま琥珀に会えなくなりそうなそんな不安が翡翠を包み込む。
家に帰っているかもしれない。
少しの可能性でもすがる思いで家を飛び出した。
焦る思いが翡翠を急がす。
横断歩道の信号で止まる時間さえも惜しくて仕方がない。
琥珀の家に行ったからといって会える保証などない。
帰って来てないかもしれない。
それでも翡翠にとって心当たりのある空間は限られていて。
琥珀の事を何も知らない自分に気づきハッとする。