【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
どのくらいそうしていたのだろう?
翡翠が抱きしめていた枕が濡れていた。
鍵穴が回る音が聞こえてきたかと思うと玄関のドアが開く音がした。
「主任・・・いるの?」
そんな間抜けな琥珀の声が聞こえてきて、翡翠は慌てて涙で滲んだ瞳を拭うと濡れた枕を裏返した。
「お帰りなさい。」
さっきまでの不安が琥珀に顔を見た途端涙とともに消えていく。
「来てたんだ・・・ 俺がそっちに行ったのに・・・」
「連絡もなかったし・・・」
「・・・・・ごめん。心配だった?」
琥珀はネクタイを緩めると疲れた顔で翡翠に寄りかかる。
こんな時自分が年上で上司だって事を思い出す。
琥珀の背中に腕を回しそっと抱きしめる。
いつもと違う琥珀に新たな不安が生まれ翡翠を飲み込んでいく。
時間にしてはほんの数分の沈黙も永遠に思えるほど長くて、琥珀が言葉を発してくれることを待ちわびていた。