【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「主任・・・愛してる。」
肩越しに聞こえた言葉はいつもの茶化しとは無縁で切なく翡翠の鼓膜を震わす。
同時に翡翠の身体は琥珀にぎゅっと抱きしめられていた。
きつく強く・・・痛いほどに・・・
嬉しいはずの言葉も、いつもなら安らぎを与えてくれる琥珀の腕の中も、翡翠の不安を解消するどころか不安を募らせていった。
「私も・・・」
愛していると声にすると不安が涙とともに溢れ出して止まらなくなることを確信した翡翠は、琥珀に悟られないように言葉を飲み込み琥珀のシャツを握りしめた。
今、離れてしまえば永遠に琥珀という男を失ってしまうような恐怖が翡翠を襲う。
それでも何も理解出来ていない翡翠から見ても琥珀の葛藤は痛いほど伝わってくる。
琥珀を苦しめているものが自分なら身を引くことで琥珀を楽にしてあげたい。
そんな想いと琥珀を失う恐怖が翡翠の中で天秤にでもかけられたかのように、翡翠は苦渋の表情を浮かべていた。