【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

琥珀の婚約の第一報は部長の口から翡翠の耳に入ることとなる。

 「夫人がだな君と木崎君の関係がきちんと清算されているのか気にされていてね。いつまでも夫人に付きまとわれても君も迷惑だろう?別れていますと報告しておいたから」

 「部長にプライベートの事まで気を使っていただかなくても結構ですから。」

 「翡翠、まさかお前まだ続いているのか?」

翡翠の言葉に男は顔色を変え翡翠の腕を掴んだ。
まだ職務中の時間、誰かが部長室に訪れてもおかしくないこの状況で男は翡翠の腕を掴み持ち上げると翡翠に詰め寄った。


 「ですからお答えする必要はないかと」

翡翠のそっけない返事に掴んだ腕に力を加える男。
翡翠の腕はじりじりと痛み、抵抗しようとすると男の力がさらに加わり細い翡翠の腕は悲鳴をあげる。

 「あいつはな婚約したんだぞ、どこぞの財閥の娘と。それがあいつの手とも知らずに本当お前はめでたい女だな」

男の言葉に腕の痛み以上の痛みを翡翠は感じていた。

 「どういう事ですか?」

男は一瞬顔色を曇らせると翡翠の腕を離し、翡翠に背を向け窓の外を眺めていた。

 「この話しは仕事が終わってからにしよう。君に話すのは契約違反だがこれ以上夫人を怒らす訳にもいかないからな」


 「部長何の事いってるんですか?」

 「君を木崎君の指導係に抜擢した本当の理由を話すから今夜7時ロイヤルホテルのあの部屋を予約しておく。待っていてくれ」


今すぐに聞きたい衝動で翡翠は男に詰め寄る。
男は翡翠に背を向けたままビクとも動かない。
それでもさっきまでとは立場が逆転していることを翡翠は感じていた。

そしてそれは自分にとってけして良い話しでは無い事も。

 「わかりました。今夜7時あの部屋でお待ちしております。」

今にでも倒れてしまいそうな精神状態が翡翠を襲う。
良い話ではないのは確実だからだ。

どんなに離れていても連絡が取れない日が続いても琥珀を想うと前向きになれていた翡翠の心に影が落ちつつあった。
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