【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

全て忘れられたらどんなに楽だろう。

デスクにいても会場を走り回っていてもふとした瞬間に脳裏にちらつくのは琥珀の事と織江の真剣な顔。

あの後部長に「これでわかっただろう。」と肩を叩かれた。

悔しさと惨めさが込み上げては、男と許されない関係を持ってしまった自分の罪への罰なんだと唇を噛みしめた。

あんなに憧れた凛としていた男の背中が小さく情けなく思えた。

終電に乗り込む頃には翡翠は身も心も疲れ切っていた。
電車の揺れに身を任せて窓の外のいつもの風景を眺めていた。

何も考えないようにしようと思うと脳裏に浮かんでは消えていく様々な顔。
それはひとりたりと翡翠に安らぎを与えることはない。

その中でも夫人の最後に見せたあの笑みを思い浮かべては吐き気すら感じていた。

ただ翡翠は眠ってしまいたかった。
マンションにたどり着くとベットに倒れ込む。

スーツもメイクもそのままに。
朝が来れば明日になれば少しは忘れられていることを願って。













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