【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

 「なぁ主任。あの女の言ってことは気にしなくてもいいから。」

 「織江さんとの婚約の事?」

 「あぁ。俺そんなつもりないし、先方にもちゃんとわかってもらうから。」

 「織江さんから聞いたわ。ビジネスでの付き合いだって言ったらしいね。でも織江さんは私に諦めないって本気で宣言してたわ」

 「俺にはそんな気ないし。俺は主任がいて」

 「私もう待たないから。」

琥珀の言いかけた言葉はかぶさった翡翠の言葉で打ち消されていく。
最後まで言わせないように。


 「何言ってるの? 冗談だよな?」

 「冗談?冗談でこんな事言うわけないでしょう? 正直言うともう疲れたの。
あんたにもあんたの周りにも振り回されるのはもうウンザリなの。」

翡翠の頭にはまた夫人の勝ち誇ったような笑い顔が浮かんでいた。


 「なんだよそれ。」

 「あんたと部長で始めたことに私の事巻き込んでおいて、信じて待ってろとか笑わせないで。所詮無理だったのよ。嘘から始まってるんだもん何を信じていいかもさっぱりわからない。」

 「主任? 」

 「毎日不安で、自分に自信なんてなくてあんたを疑ってそんな毎日からもう解放されたいの。だからもう出て行ってよ。」

 「主任。俺は」

 「わ―――――――――――ぁ」
翡翠は耳に両手を置き叫んだ。
琥珀の声が聞こえてこないように。
子供だまし。
こんなことしても意味なんてない。

押さえつけられたら男の琥珀の力になんて敵わない。
叫ぶ翡翠の口を琥珀の唇が塞ぐ。

叫び声は琥珀に吸収されて消滅する。
痛みを感じるほどに押し付けられる唇。
呼吸することを忘れてしまう。


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