【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「おはようございます。」
「おはよう。」
エレベーターの扉が閉まるギリギリで乗り込む。
一歩後ろに下がり男の背中を眺める。
いつ見ても凛とした立振る舞い。
それは、妻の気配りそのものだった。
シワや埃ひとつないスーツに、いつ見ても綺麗に磨かれている靴。
翡翠には真似できるものではない。
「何度か連絡したんだが。」
翡翠を見ようともせず発する言葉。
いつエレベーターの扉が開いても対処できるように男はいつもそうしていた。
「すいません。 タイミングが合わなくて」
「今晩、いつものように」
「わかりました。」
お決まりの様に翡翠を抱いてお決まりの時間に帰っていく。
男は決して泊まらない。
口では帰りたくないみたいなことを言っていても必ず愛する家族のところに帰っていく。
それが翡翠には都合がよかった・・・
昨日までは。