【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
家族に愛されている部長。
それでも私を抱く。
『帰らないで・・・』
一度も言ったことはない言葉。
口にする気もなかった言葉。
琥珀の存在が翡翠を惑わせていた。
琥珀に1日中抱かれた身体を部長に1晩中抱いていてほしかった。
でもそれは叶わない事だとわかっていたから、翡翠は声にならないうちに言葉を飲み込んだ。
エレベーターの扉が開くと部長は後ろを振り向くことなく目の前の社員の会釈に答えオフィスに消えていく。
いつもならすぐ後ろを歩いてオフィスに向かうわたしの存在がないのも気に留めず・・・
今日は閉まっていく扉の隙間からそんな部長の背中を見送った。
溜息と同時に完全に閉ざされた空間。
「勝手に帰るの反則じゃない?」
私の目の前にはこの世で1番会いたくない男が扉に背を向けて真っ直ぐ私を見ている。
「あんた何してるのよ!!」
「強行突破。」