【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「翡翠、今日はいつもより大胆だったようだが・・・」
男は翡翠の髪を撫でながら首筋に残った紅い痕をなぞり溜息をつく。
怒ってくれたなら・・・
罵倒してくれたなら・・・
その方が・・・。
お互いがお互いの存在価値を割り切っているからこそ気に留めないふりをする。
そんな関係が気楽だと思っていたのに今は苦しい。
「翡翠・・・翡翠が本気ならいつでも言ってくれていいから」
部長と一緒にいるのに頭の中は他の男の事を考えている。
そんな自分を見抜かれているようで翡翠は罪悪感を感じていた。
けしてそんな想い抱くことなどないと思っていたのに。
「私、本気になんてなりませんから。誰とも」
「その言葉には私も含まれているようだね。」
男の言葉に含まれている真意など翡翠にもわからない。
都合がよければそれでいい。
男と翡翠の関係は口でどんなに繕っても出口など存在しないそんな関係だと翡翠は自覚していた。
男がどう思っていたかはわからないが・・・
もし翡翠に対する感情が男が口にするように、愛だの恋だのという感情だとするならば、家で男の帰りを待ち続ける妻への感情は何に値するのであろうか。
愛情・・・ 同情・・・
ただ確実なことは、男は翡翠より妻、子供が大切だという事実。