【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
翡翠は確かな決意を胸に仕事に打ち込んだ。
そんな翡翠を密かに癒したのは、ついこないだまで大っ嫌いだった琥珀の笑顔だった。
あいかわらずの天性の明るさはある意味才能なのだろう。
琥珀のそばはいつも笑顔が絶えないことを翡翠は気づいていた。
ただふざけているだけ・・・
チャラ男なだけ・・・
そう琥珀の事を否定し続けていた翡翠はそこにはいなかった。
琥珀の笑顔の裏の悲しみ悔しさそして努力を知ってしまったから。
企画室でふたり、デスクの上には式の進行表があって、1つのデスクを挟んで向かい合って、今にも指と指が触れそうな、おでことおでこがぶつかりそうな距離。
そんな時だった。
不意に翡翠が決意を口にしたのは。
「部長とは今日・・・」
なんでこのタイミングで琥珀にこんな事を口にしてしまったのか。
琥珀には関係がない事かもしれないのに。
翡翠は口にした後で後悔していた。
琥珀の反応が怖かった。
「家で待ってるから」
たった一言の琥珀の言葉。
それでも翡翠には重たい言葉だった。